「ChromeでVPNを使いたいけれど、アプリまで入れる必要はあるのだろうか」。ストアで探すと無料のVPN拡張機能がたくさん並び、どれが安全なのか、拡張機能だけで本当に守られるのか、迷ってしまう方は多いはずです。無料のものを入れて情報を抜かれないかという心配も重なります。
そこで本記事では、VPN拡張機能とアプリの違いと、主なVPN会社の拡張機能の特徴を、各社とGoogleの公式案内をもとに整理しました。自分の使い方に合うのが拡張機能かアプリかを判断し、迷わず1つを選べます。
あわせて、Chromeに追加する手順や、無料の拡張機能を入れる前に確かめたい点も同じ流れで解説します。
ChromeでVPNを使う方法は2つ
ChromeでVPNを使う方法は、VPN会社の拡張機能をChromeに追加するか、端末全体を守るVPNアプリを入れるかの2つです。Chrome本体にはVPNの機能が付いていないため、どちらかを自分で用意する必要があります。
Chrome本体にVPNの機能はない
Chromeの設定画面には、VPNをオンにする項目はありません。Googleのヘルプにある「セキュア DNS を使用する」や「常に安全な接続を使用する」は通信の一部を暗号化する機能で、見えるIPアドレスは変わりません。
シークレットモードも、閲覧履歴を端末に残さない機能です。Googleは、シークレットモードでもアクセスしたサイトやネットワークの管理者には活動が知られる可能性があると明記しています。
VPN会社の拡張機能を追加する方法
1つ目は、VPN会社が配っている拡張機能をChrome ウェブストアから追加する方法です。アプリを入れなくてもChromeの中だけでVPNを使えるのが特長で、NordVPNやProton VPNは管理者の権限が要らないと案内しています。
会社から支給されたパソコンなど、アプリを入れにくい環境でも使える場合があります。ただし、勤務先のルールで拡張機能の追加が制限されていることもあるので、事前に確かめておきましょう。
端末全体を守るVPNアプリを入れる方法
2つ目は、パソコンにVPNアプリを入れて、Chromeを含む端末全体の通信を守る方法です。Windscribeは、拡張機能はブラウザから出る通信だけを守り、デスクトップアプリはパソコンに出入りするすべての通信を守ると説明しています。
メールソフトやゲーム、動画アプリも一緒に守りたいなら、アプリを選ぶのが自然です。VPNの基本的な仕組みはVPNとは何かを解説した記事で確かめられます。
VPN拡張機能とアプリの違い
VPN拡張機能とアプリのいちばんの違いは、守れる範囲です。拡張機能はChromeの通信だけ、アプリは端末全体の通信を守るため、Chrome以外も使うかどうかで選び方が決まります。
拡張機能が守るのはChromeの通信だけ
拡張機能が守れるのは、Chromeの中の通信だけです。Proton VPNは、拡張機能を使っている間も端末のほかのアプリはふだんのプロバイダ経由で通信すると説明しています。
Proton VPNは、拡張機能が起動する前の通信は守れないことや、ほかの拡張機能がブラウザの設定を書き換えることがある点も、拡張機能の制約として公開しています。そのうえで、安全性を重視するならアプリ版を勧めているのが同社の立場です。
多くの拡張機能はプロキシの仕組みで中継する
多くのVPN拡張機能は、Chromeの通信をVPN会社のサーバーへ中継する「プロキシ」の仕組みを使います。NordVPNやCyberGhost、Surfsharkは、Chrome ウェブストアの説明で自社の拡張機能をプロキシと表現しています。
プロキシの仕組みでも、通信が暗号化されないわけではありません。Proton VPNは拡張機能がHTTPSを使うと説明し、ExpressVPNもアプリがなくても通信を暗号化すると案内しています。違いは暗号化の有無ではなく、守れる範囲だと考えてください。
WebRTC対策の有無で漏れやすさが変わる
拡張機能を選ぶときは、WebRTCへの対策があるかも確かめます。WebRTCはビデオ通話などで使われるブラウザの仕組みで、VPNを使っていても元のプロバイダのアドレスが見つかりうる、というのがインターネットの標準を定めるIETFの文書の説明です。
NordVPN・ExpressVPN・Surfshark・Proton VPNの拡張機能は、WebRTCを止めて本当のIPアドレスが漏れるのを防ぐ機能を案内しています。一方でCyberGhostの拡張機能は、WebRTCによる漏れを防がないと公式に明記されている点に注意が必要です。
どちらが合うかは使い方で決まる
拡張機能とアプリのどちらが合うかは、守りたい通信と使う場所で決まります。代表的な使い方ごとの目安は次のとおりです。
| 使い方 | 向いている方法 | 理由 |
|---|---|---|
| Chromeでサイトを見るだけ | 拡張機能 | 守りたい通信がChromeだけ |
| 会社のパソコンで使う | 拡張機能 | 管理者権限が要らない |
| フリーWi-Fiで仕事をする | アプリ | メールやほかのアプリも守れる |
| ゲームや動画アプリも使う | アプリ | Chrome以外の通信も対象 |
NordVPNは、アプリと拡張機能を同時に使わないよう案内しています。両方を契約している場合は、使う場面ごとにどちらか一方に切り替えましょう。
Chrome拡張機能がある主なVPN
2026年10月時点の各社の公式案内では、Chrome拡張機能を出している主なVPNは、契約者向けのNordVPN・ExpressVPN・Surfsharkと、無料でも使えるProton VPN・CyberGhost・Windscribeに分かれます。
- NordVPN|契約者向けで単体で動く
- ExpressVPN|アプリなしでも動く
- Surfshark|WebRTC対策を設定で選べる
- Proton VPN|無料プランでも使える
- CyberGhostなど|無料版の制約に注意
NordVPN|契約者向けで単体で動く
NordVPNの拡張機能は、契約すれば追加料金なしで使え、アプリを入れなくても単体で動きます。Chrome ウェブストアの説明によれば、手順はダウンロードしてログインし、接続するだけです。
拡張機能はChromeのWebRTCを止めて、IPアドレスの漏れを防ぐ仕組みです。同社のヘルプは、拡張機能が守るのはブラウザの通信だけだとしています。サービス全体の特徴はNordVPNのレビューで確かめられます。
ExpressVPN|アプリなしでも動く
ExpressVPNの拡張機能は、2026年2月からアプリを入れなくても動くようになりました。同社の発表によると、ブラウザだけのプロキシとして通信を暗号化し、端末全体を守りたいときはアプリの操作に切り替えられます。
WebRTCを止める機能も備えています。拡張機能を使うには、ExpressVPNの契約が必要です。2026年2月より前の比較記事には「アプリが必要」と書かれていることがあるので、古い情報と混同しないようにしましょう。
Surfshark|WebRTC対策を設定で選べる
Surfsharkの拡張機能は、契約したアカウントでログインして使います。2026年9月更新のヘルプの説明では、拡張機能のVPN設定でWebRTCの保護をオンとオフで切り替えられる仕組みです。
新しく使う人向けに7日間の無料トライアルがありますが、公式サイトの案内では12か月か24か月のプランを選び、支払い情報を登録して始める仕組みです。7日間を過ぎると選んだプランで自動的に課金されるため、続けないなら期間内に解約してください。
Proton VPN|無料プランでも使える
Proton VPNの拡張機能は、2024年8月から無料プランの利用者も使えるようになりました。無料プランは1台までですが、公式サイトは広告なし・ログ保存なしで、データ量と速度の上限もないと案内しています。
対応しているのは、バージョン108以降のChromium系ブラウザです。有料プランには30日間の返金保証があり、接続できる国やサーバーが増えます。くわしくはProton VPNのレビューにまとめています。
CyberGhostなど|無料版の制約に注意
CyberGhostとWindscribeも無料で使える拡張機能を出していますが、制約を知ったうえで使いましょう。CyberGhostの拡張機能は接続先がアメリカ・ドイツ・オランダ・ルーマニアの4か所で、WebRTCによる漏れは防がないと明記されています。
Windscribeは、拡張機能とデスクトップアプリを組み合わせて使う形を勧めており、どちらも無料で入手できます。無料版で使えるデータ量は時期によって変わるため、公式サイトで確かめてから選んでください。
6社の拡張機能の違いをまとめると次のとおりです。
| サービス | 拡張機能だけで動くか | WebRTC対策 | 無料で使えるか |
|---|---|---|---|
| NordVPN | 動く | あり | 契約が必要 |
| ExpressVPN | 動く | あり | 契約が必要 |
| Surfshark | 動く | 設定で選べる | 契約が必要 |
| Proton VPN | 動く | あり | 無料プランあり |
| CyberGhost | 動く | なし | 無料 |
| Windscribe | 動く | ストアに記載なし | 無料版あり |
Surfsharkの7日間の無料トライアルは、支払い情報の登録が前提です。
ChromeにVPN拡張機能を追加する手順
VPN拡張機能は、公式サイトのリンクからChrome ウェブストアを開き、「Chrome に追加」を押してログインすれば使い始められます。使い終わったら、オフにするか削除するかを「拡張機能を管理」から選べば十分です。
公式サイトのリンクからストアを開く
拡張機能は、ストアで名前を検索するのではなく、VPN会社の公式サイトにあるリンクからChrome ウェブストアを開いて入れます。ストアには有名なVPNの名前をまねた偽物が見つかっているためです。
ストアのページでは、提供元の名前が公式の会社名と一致しているかを確かめます。NordVPNやExpressVPNのページには「表示されているウェブサイトの所有者によって作成されました。」という表示も出ているので、目印になるでしょう。
「Chrome に追加」を押してログインする
ストアのページで「Chrome に追加」を押し、権限の確認が出たら「拡張機能を追加」を選びます。Googleのヘルプによると、シークレットモードやゲストとして使っているときは拡張機能を追加できません。
追加が終わったら、右上に出る拡張機能のアイコンを押し、VPN会社のアカウントでログインします。Proton VPNは、無料のアカウントを作ればすぐ使えるサービスの1つです。
アイコンを固定して接続先を選ぶ
パズルのピースの形をした拡張機能アイコンを押し、VPNの拡張機能の横にある「固定」を選ぶと、アドレスバーの右側にいつも表示されます。あとは拡張機能のアイコンから接続ボタンを押すか、接続したい国を選んでください。
つながったら、IPアドレスや国の表示が変わったかを確かめておくと安心です。確かめ方はVPNでIPアドレスはどう変わるかを解説した記事を参考にしてください。
オフと削除は「拡張機能を管理」から
拡張機能を一時的に止めたいときは、Chromeのメニューから「拡張機能」→「拡張機能を管理」を開き、切り替えボタンでオフにします。もう使わない拡張機能は、同じ画面の「削除」で取り除けます。
アイコンを右クリックして「Chrome から削除」を選んでも構いません。使っていない拡張機能を入れたままにしないことが、思わぬ情報の送信を防ぐことにつながるでしょう。
無料のVPN拡張機能を入れる前の注意点
無料のVPN拡張機能を入れる前には、提供元が本物か、どんな権限を求めているかを必ず確かめてください。Chrome ウェブストアでは、有名ブランドのなりすましや、閲覧中の情報を集めていた拡張機能が見つかっています。
有名ブランドのなりすましが見つかっている
セキュリティ企業のSocketは2026年8月、Chrome ウェブストアで無料をうたうVPN・プロキシ拡張機能737件を特定し、そのうち274件がProton VPNやNordVPNなど66のブランドになりすましていたと報告しました。主にロシア語の利用者を狙ったものですが、名前だけで本物と判断するのは危険です。
同じ年の2月には、Proton自身も偽のProton VPN拡張機能について注意を呼びかけたと報じられています。Protonは、公式サイトから入手し、提供元が「Proton AG」になっているかを確かめるよう勧めています。
おすすめ表示でも情報を集めていた例がある
ストアで「おすすめ」の印が付いた拡張機能でも、安全とは限りません。セキュリティ企業のKoi Securityは、「おすすめ」の印が付いていた無料のUrban VPN Proxyが、2025年7月以降の版でChatGPTやGeminiなどAIとの会話を集めていたと指摘し、2025年12月に英The Registerが報じました。
2025年8月には、10万回以上ダウンロードされた無料のFreeVPN.Oneが、閲覧中の画面を自動で撮影して外部に送っていたと報じられました。使っていない拡張機能も入っている限り動くことがあるため、不要になったら削除しておくのが安全です。
提供元と権限を確かめてから入れる
拡張機能を入れる前は、まず提供元を確かめ、次に権限を見ます。正規のVPN拡張機能でも、通信を中継する仕組み上、「すべてのウェブサイト上にある自分の全データの読み取りと変更」という趣旨の権限の警告が出るため、権限の多さだけでは良し悪しを決められません。
Chromeの「安全チェック」では、有害な可能性がある拡張機能について警告を受けられます。自分で入れた覚えのない拡張機能がないかも「拡張機能を管理」で時々見直してください。無料VPN全般の注意点は無料VPNの危険性の記事にまとめています。
ChromeのVPNでよくある質問
ChromeでVPNを使うときによく迷う点を、4つの質問にまとめました。
スマホのChromeでもVPN拡張機能は使える?
スマホでは、VPNアプリを使うのが基本です。Googleの手順では、スマホのChromeで拡張機能を選ぶとパソコンのChromeに追加される仕組みで、Proton VPNなども、スマホ向けにはアプリを案内しています。
シークレットモードとVPNは何が違う?
シークレットモードは、閲覧履歴などを端末に残さない機能で、見えるIPアドレスは変わりません。Googleも、アクセスしたサイトやネットワークの管理者には活動が知られる可能性があると説明しています。
ChromebookでVPNを使うには?
Chromebookでは、Chromeの拡張機能に加えて、Google Playに対応した機種ならAndroidのVPNアプリも選べるのが特長です。設定の「ネットワーク」から「接続を追加」を選び、標準で対応している方式を手動で追加することもできます。
VPN中に銀行サイトが開けないときは?
まず拡張機能の接続を切ってから開き直してください。NordVPNやSurfsharkの拡張機能には、特定のサイトだけVPNを通さない設定があり、よく使うサイトを登録しておくと切り替えの手間が減るでしょう。
まとめ
Chrome本体にはVPNの機能がないため、VPN会社の拡張機能を追加するか、端末全体を守るアプリを入れるかを選びます。拡張機能が守れるのはChromeの通信だけなので、Chromeでサイトを見るだけなら拡張機能、フリーWi-Fiで仕事をするならアプリが向いています。
無料の拡張機能にはなりすましの例もあるため、公式サイトのリンクから入れることが大切です。まずは使いたいVPN会社の公式サイトを開き、拡張機能のページから追加してみてください。
参考文献
- Google Chrome ヘルプ「Chrome の安全性とセキュリティを管理する - パソコン」
- Google Chrome ヘルプ「シークレット モードでブラウジングする - パソコン」
- Chrome ウェブストア ヘルプ「拡張機能をインストールして管理する」
- Chromebook ヘルプ「仮想プライベート ネットワーク(VPN)を設定する」
- Chrome for Developers「Permissions」
- IETF RFC 8828「WebRTC IP Address Handling Requirements」
- NordVPN「Should I choose NordVPN app or NordVPN extension?」
- Chrome ウェブストア「VPN for Chrome: NordVPN proxy protection」
- ExpressVPN「hybrid VPN browser extension」
- Chrome ウェブストア「ExpressVPN: VPN & proxy browser extension」
- Chrome ウェブストア「Surfshark Chrome VPN拡張機能」
- Proton VPN「Browser extensions」
- Proton VPN「Browser extension limitations」
- Proton VPN ブログ「browser extension free」
- Proton VPN「Free VPN」
- Proton VPN「Proton VPN product lifecycle stages」
- Chrome ウェブストア「Proton VPN: Fast & Secure」
- Surfshark「VPN free trial」
- Surfshark「How to set up the Surfshark browser extension on Chrome」
- CyberGhost「Chrome VPN」
- Chrome ウェブストア「CyberGhost VPN – Proxy for Chrome」
- Chrome ウェブストア「Free VPN For Chrome - VPN Extension - Windscribe」
- Windscribe ブログ「How to Windscribe」
- Socket「Chrome VPN extension impersonation」
- CyberInsider「Proton warns of malicious Chrome extensions impersonating its VPN service」
- The Register「Chrome, Edge privacy extensions quietly snarf AI chats」
- Information Age「Popular free VPN caught spying on users」