「夜になるとpingが跳ねて撃ち負ける。ゲームにVPNを入れれば直るのだろうか」。そう期待する一方で、かえって遅くならないのか、BANされないのか、不安が先に立つ方は多いのではないでしょうか。有料と無料のどちらを選べばよいかという迷いも重なります。
そこで本記事では、VPNでpingが下がる場面と下がらない場面を見分けたうえで、ゲーム向けVPN5社を料金と機能で比べました。VPN各社やゲーム会社の公式な説明をもとにしているので、自分のラグにVPNを試す価値があるかを判断できるはずです。
あわせて、BANにつながる使い方とゲームの規約、PS5やSwitchでVPNを使う方法も同じ流れで解説します。
ゲームでVPNを使うとpingは下がるのか
ゲームでVPNを使うと、pingは上がることのほうが多く、下がるのは回線の経路が遠回りしている場合などに限られるのが実情です。VPN会社のNordVPN自身も、VPNでpingが下がるのは「一般的ではない」と説明しています。
VPNは寄り道が増えるのでpingは上がりやすい
VPNはゲームの通信をいったんVPNサーバーに経由させるため、寄り道の分だけpingが上がるのが基本です。pingはデータが相手に届いて戻るまでの時間のことで、数字が小さいほど操作がすぐ画面に反映されます。
Surfsharkは「すべてのVPNはpingを上げる可能性がある」と書いており、売る側も効果を約束していません。回線の速さを示すMbpsが十分でも、pingが低いとは限らない点も覚えておきましょう。
遠回りの経路や夜の混雑なら下がることもある
プロバイダーの経路が遠回りしている場合や途中が混んでいる場合は、VPNを通したほうがpingが下がることがあります。Riot Gamesの技術ブログ(2015年、米国内の例)は、回線事業者が遅延よりコストの小ささで経路を選ぶことがあり、直接なら14ミリ秒の区間に70ミリ秒かかった例を紹介しています。
夜だけpingが跳ねる人は、回線の混雑も疑ってみてください。総務省の集計(2025年11月分)では、固定回線の通信量のピークは19時から21時でした。ただし、VPNサーバーまでは同じ回線を通るため、混雑を必ず避けられるわけではありません。
家のWi-Fiや遠いサーバーが原因なら効かない
ラグの原因が家のWi-Fiの不安定さや、物理的に遠いゲームサーバーにあるなら、VPNでは改善しにくいでしょう。ExpressVPNも、遠いサーバーで遊ぶ場合や回線品質そのものが低い場合は、VPNだけでは大きな改善は期待できないと説明しています。
VPNを試す前に、有線LANへの切り替えや近いゲームサーバーの選択を済ませておくと、原因を切り分けやすくなります。原因ごとの効き方の目安は次のとおりです。
| ラグの原因・目的 | VPNの効果 | 先に試すこと |
|---|---|---|
| プロバイダーの遠回りの経路 | 下がることがある | オンとオフで比べる |
| 夜の回線の混雑 | 場合による | 時間帯を変えて測る |
| 家のWi-Fiの不安定さ | 効きにくい | 有線LANにつなぐ |
| 遠い国のゲームサーバー | 効きにくい | 近いサーバーを選ぶ |
| IPアドレスを知られる不安 | 隠せる | 配信の設定も見直す |
表はVPN各社とゲーム会社の公式な説明にもとづく目安です。当サイトはゲームでのpingを実測していないため、効果は自分の環境で確かめてください。
IPアドレスを隠して攻撃や公共Wi-Fiから守れる
VPNがゲームで役立ちやすいのは、pingよりも自分のIPアドレスを隠し、通信を暗号化する面です。DDoS攻撃は大量の通信を送りつけて回線を落とす攻撃で、相手のIPアドレスが分からないと狙いにくい、とNordVPNやSurfsharkは説明しています。
Cloudflareの2025年第4四半期の報告では、DDoS攻撃を受けた業種でゲームは4位でした。ただし、これは主にゲーム会社などが受けた攻撃の数字で、個人のプレイヤーが狙われる頻度を示すものではありません。配信者や大会に出る人、外出先のWi-Fiで遊ぶ人ほど、この面の意味は大きくなります。
ゲーム向けVPN5社の比較
ゲームで使うVPNは、PS5などのゲーム機で使うか、パソコンだけで使うかで選ぶと決めやすくなります。ここで比べる5社は、どれも30日間の返金保証を用意しています(ExpressVPNは新規ユーザー、MillenVPNは1年・2年のサブスクプランが対象)。
- NordVPN|ゲーム機はルーターや共有で使う
- Surfshark|初回が安く同時接続は無制限
- ExpressVPN|対応ルーターが多い
- Proton VPN|NATの制限を緩める機能がある
- MillenVPN|日本の会社だがゲーム機は対象外
5社の料金と同時に使える台数は、次の表のとおり。
| VPN | プラン | 長期プランの月額 | 初回の支払い | 更新後 | 同時接続 |
|---|---|---|---|---|---|
| NordVPN | ベーシック | 580円 | 27か月で15,660円 | 年21,960円 | 10台 |
| Surfshark | Starter | 298円 | 27か月で8,046円 | 料金ページに記載なし | 無制限 |
| ExpressVPN | ベーシック | 480円 | 28か月で13,440円 | 年14,999円 | 10台 |
| Proton VPN | VPN Plus | 374円 | 24か月で8,976円 | 12か月で10,488円 | 10台 |
| MillenVPN | 2年プラン | 396円 | 24か月で9,504円 | 月950円+税 | 無制限 |
料金は2026年10月23日に各社の公式ページで確かめた、キャンペーン中の表示です。NordVPN・Surfshark・ExpressVPNは決済時に税が加わる場合があり、MillenVPNは税込の金額です。下の説明も各社の公式情報にもとづくため、効果は返金保証の期間内に自分の環境で確かめてください。
NordVPN|ゲーム機はルーターや共有で使う
NordVPNは、WireGuardをもとにした独自方式のNordLynxを使え、7,100台以上のサーバーを持つVPNです。ゲームの通信だけをVPNから外すスプリットトンネリングは、WindowsとAndroidのアプリで使える機能です。
PS5などのゲーム機にはアプリがなく、VPN対応のルーターやWindowsパソコンの接続共有を通して使うよう案内しています。詳しい料金や特徴はNordVPNの解説ページで確かめられます。
Surfshark|初回が安く同時接続は無制限
Surfsharkは、表の長期プランの中では初回の支払いが少なく、同時に使える台数に上限がないのが特長です。100か国に4,500台以上のサーバーを置き、ゲーム向けのページではWireGuardでの接続を勧めています。
特定のアプリやサイトをVPNから外す機能「Bypasser」は、Android・Windows・Macで使えます。iPhoneで外せるのはWebサイトだけで、ゲームアプリは外せません。一方、更新後の金額は料金ページに書かれていないため、契約前に更新料の案内を確かめておきましょう。製品の詳細はSurfsharkの解説ページにまとめました。
ExpressVPN|対応ルーターが多い
ExpressVPNは、AsusやNetgearなど専用アプリを入れられるルーターの種類が多く、ゲーム機をまとめてVPNにつなぎたい人に向いています。独自方式のLightwayを使え、サーバーは113か国にあり、日本では東京や大阪などを選べるのも特長です。
スプリットトンネリングでアプリ単位に外せるのはWindows・Mac・Androidなどで、iPhoneはサイト単位の除外に限られます。同社はゲームについて、遠いサーバーで遊ぶ場合はVPNだけで大きな改善は期待できないと率直に説明しています。くわしくはExpressVPNの解説ページをご覧ください。
Proton VPN|NATの制限を緩める機能がある
Proton VPNは、有料プランで「Moderate NAT」という機能を使えるのが特長です。NATはルーターなどが通信を振り分ける仕組みのことで、制限が厳しいとほかのプレイヤーとつながりにくくなり、ラグの原因にもなりうると同社は説明しています。
無料プランもありますが、接続先のサーバーを自分で選べず、スプリットトンネリングやModerate NATは有料プランだけの機能です。ゲームで本格的に試すなら有料プランが前提になるでしょう。詳細はProton VPNの解説ページで確かめられます。
MillenVPN|日本の会社だがゲーム機は対象外
MillenVPNは日本の会社が運営するVPNで、東京と大阪にサーバーがあり、同時に使える台数に上限がありません。ただし、公式の動作環境ページでは、SwitchやPS5などの家庭用ゲーム機を対象外と明記しています。
そのため、MillenVPNはパソコンやスマホでゲームをする人向けの候補です。7日間〜30日間のワンタイムプランは返金保証の対象外なので、試すときは継続プランの条件も読んでおきましょう。料金の詳細はMillenVPNの解説ページにあります。
ゲーム向けVPNの選び方と試し方
ゲーム向けのVPNは、ゲームサーバーに近いVPNサーバーを選べるか、ゲームだけVPNから外せるかの2点で選び、最後は自分の環境で測って決めます。VPNの効果は回線や時間帯で変わるため、評判よりも測った数字を判断の材料にしましょう。
ゲームサーバーに近い国のサーバーを選べる
VPNを選ぶときは、遊ぶゲームのサーバーに近い国や都市にVPNサーバーがあるかを最初に確かめます。VPNは通信の寄り道を1つ増やす仕組みなので、VPNサーバーが遠いほどpingが上がりやすくなるためです。
日本のサーバーで遊ぶなら、東京や大阪にサーバーがあるVPNが候補になります。VALORANTのように、ゲーム内で東京や香港などのサーバーを選べるタイトルもあるため、ゲーム側の設定とVPNの接続先をそろえて考えるとよいでしょう。
ゲームだけVPNから外す機能がある
スプリットトンネリングは、アプリごとにVPNを通すかどうかを分ける機能で、ゲームとVPNを両立させるのに役立つでしょう。たとえば、ゲームだけVPNから外してpingを保ち、ブラウザはVPNで守るといった使い分けができます。
使える端末は会社ごとに違い、NordVPNはWindowsとAndroid、Proton VPNは有料プランだけといった条件があります。自分がゲームをする端末で使えるかを、契約前に各社のヘルプで確かめておきましょう。
オンとオフでpingを比べて返金保証内に決める
VPNの効果は環境で変わるため、同じゲーム・同じ時間帯に、VPNのオンとオフでpingを測り比べて決めるのが確実です。Surfsharkも、試して目立った改善がなければVPNをオフにするよう案内しています。
有料プランは30日間の返金保証期間内に試し、効果がなければ期限前に解約と返金の手続きを済ませましょう。返金の条件は購入経路などで変わるので、NordVPNの解約・返金の手順のように各社の案内を先に読んでおくと慌てずに済みます。
ゲームでVPNを使うとBANされるのか
主なゲーム会社の規約には、VPNを使うこと自体を禁じる文言は見当たりません。停止の対象になりうるのは、VPNで住む国や身元を偽る使い方と、不正やマッチングの操作に使う使い方です。
VPNの利用そのものを禁じる規約は見当たらない
Riot Games・EA・Activision・PlayStation・任天堂・Microsoftの規約本文には、VPNの利用を一律に禁じる文言は見当たりません(2026年10月23日時点)。各社が禁じているのは、チートなどの不正行為、不正対策の回避、うその情報の登録などです。
ただし、Call of Dutyの施行ポリシーは、自分や機器の身元を隠したり偽ったりする試みを「スプーフィング」として禁じ、違反は一時的なBANから永久BANまでの処分の対象になりえます。VPNがこれに当たるかの線引きは示されていないため、ランクマッチなどでは慎重に使いましょう。
住む国を偽ると停止の対象になりうる
VPNで住んでいる国を偽り、地域限定のゲームを遊んだり、安い地域の価格で買ったりすると、アカウント停止の対象になりえます。Steamの利用規約は、IPプロキシなどで所在地を偽らないよう定め、違反するとアカウントへのアクセスを無効化する場合があると明記しています。
PlayStationオンラインサービス利用規約も、日本に住む人は日本のストアだけを使えると定め、登録した国が実際の居住地と違うとアカウントのサポートを受けられません。VALORANTの案内は、地域の変更は実際の所在地に合わせる場合に限るとし、VPNから遊ぶときは特に注意するよう呼びかけています。
CoDやRiotは地域をまたぐVPNに対策している
規約で禁じていなくても、ゲーム会社は地域をまたぐVPNの使い方に技術的な対策を取っており、規約だけを見て安心はできません。Riot Gamesは2020年11月、言葉の壁やラグの急増などの問題が起きたとして、利用の多い一部のVPNサービスからのアクセスを遮断しました。
Call of Dutyも2024年11月、Black Ops 6のランクマッチに向けて、プレイヤーが自分の地域で試合をするようpingの基準を調整し、VPNの悪用を減らすと発表しています。腕前の近い相手を避けるなど、マッチングを操作する目的でVPNを使うのはやめておきましょう。
PS5やSwitchでVPNを使う方法
PS5やSwitchなどのゲーム機にはVPNのアプリを入れられないため、VPN対応のルーターに設定するか、VPNにつないだパソコンの接続を共有して使います。スマートDNSという別の仕組みもありますが、通信を暗号化しない点に注意が必要です。
ゲーム機にVPNアプリは入れられない
PS5・Switch・XboxにはVPNのアプリがなく、NordVPNやSurfsharkも、ゲーム機ではアプリを直接動かせないと説明しています。そのため、ゲーム機の手前にある機器でVPNにつなぎ、その通信をゲーム機に回す形になります。
MillenVPNは家庭用ゲーム機を対象外としているので、ゲーム機で使うならほかの4社から選びましょう。設定した後は、Switchなら「設定」の「インターネット」にある接続テストで、NATタイプや通信速度を確かめられます。
ルーターかパソコンの共有でつなぐ
家のゲーム機をまとめてVPNにつなぐなら、VPN対応のルーターに設定する方法が基本です。ただし、NordVPNは回線会社が貸し出すルーターはおそらく対応していないとしており、Surfsharkもルーターではアプリの機能の多くが使えず、速度が落ちうると注意しています。
ルーターを替えたくない人は、VPNにつないだWindowsパソコンの接続を共有し、LANケーブルなどでゲーム機をつなぐ方法が手軽です。ルーターでの手順はVPNルーターの設定方法で詳しく解説しています。
スマートDNSは通信を暗号化しない
ExpressVPNのMediaStreamerのようなスマートDNSはゲーム機にも設定できますが、通信の暗号化もIPアドレスの変更もしません。ExpressVPN自身がそう明記しているため、IPアドレスを隠したり攻撃から守ったりする目的には使えません。
ゲームでVPNに期待するのが通信の保護なら、ルーターかパソコンの共有で本来のVPNにつなぎましょう。スマホのテザリングで共有する方法もありますが、モバイルデータを消費する点に気をつけてください。
ゲームのVPNでよくある質問
ゲームでVPNを使うときによく迷う点を、3つの質問にまとめました。
無料のVPNでもゲームはできる?
無料のVPNでもゲームはできますが、条件が厳しく、pingを下げる目的には向きません。Proton VPNの無料プランは接続先のサーバーを選べず、Windscribeの無料版は、データ量が標準で毎月2GB、メールアドレスを登録すると毎月10GBです。無料VPNの危険性は無料VPNのリスクで解説しています。
ExitLagなどとVPNは何が違う?
ExitLagは自社を「VPNではない」と説明する、ゲームの通信だけを経由させて経路を整えるサービスです。ふだんの閲覧は暗号化せず、プライバシー保護ではなく遅延を減らすための道具なので、pingだけが目的ならExitLagなど、IPアドレスの保護も求めるならVPNと、目的で選び分けましょう。
ゲームでVPNを使うのは違法?
日本では、VPNを使うこと自体を禁じる法律は見当たりません。問題になるのは、VPNを使って何をするかです。法律とは別に、住む国を偽る使い方などはゲームの規約違反になりえます。不正アクセスのような違法な行為は、VPNを使っても違法のままです。
まとめ
ゲームでVPNを使うと、pingは上がることのほうが多く、下がるのは回線の経路が遠回りしている場合などに限られます。VPNの利用そのものを禁じる規約は見当たりませんが、住む国を偽る使い方やマッチングの操作は停止の対象になりえます。
VPNを選ぶときは、ゲームサーバーに近いサーバーとスプリットトンネリングの有無を確かめましょう。まずは返金保証のある有料プランで、VPNのオンとオフのpingを同じ時間帯に測り比べてください。
参考文献
- Cloudflare「レイテンシーとは?」
- Riot Games「Fixing the Internet for Real Time Applications: Part I」
- 総務省「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算」
- Cloudflare Blog「2025 Q4 DDoS threat report」
- NordVPN「ゲーム用VPN」
- NordVPN「料金プラン」
- NordVPN「PlayStation用VPN」
- NordVPN「What is Split Tunneling and how to use it with NordVPN」
- NordVPN「Setting up a router with NordVPN」
- Surfshark「VPN for gaming」
- Surfshark「How to lower ping and reduce lag in video games」
- Surfshark「料金プラン」
- Surfshark「サーバー一覧」
- Surfshark「Surfshark Features」
- Surfshark「VPN for PlayStation」
- Surfshark「How to set up a router with Surfshark」
- ExpressVPN「ゲーミング向けVPN」
- ExpressVPN「料金プラン」
- ExpressVPN「VPNサーバーの所在地」
- ExpressVPN「Supported devices」
- ExpressVPN「VPN for gaming consoles」
- ExpressVPN「Split tunneling」
- Proton VPN「Proton VPN plans」
- Proton VPN「アカウント作成(VPN Plus・24か月・円)」
- Proton VPN「Moderate NAT」
- Surfshark「How to use Bypasser on iOS」
- Proton VPN「Split tunneling」
- MillenVPN「料金プラン」
- MillenVPN「サーバーロケーション」
- MillenVPN ヘルプセンター「動作環境」
- VALORANT サポート「Server Select」
- VALORANT サポート「Account Transfer FAQ」
- Riot Games「Terms of Service」
- Riot Games「Changes to Cross Region VPN Access」
- EA「ユーザー契約」
- Activision「Call of Duty Security and Enforcement Policy」
- Call of Duty「RICOCHET Anti-Cheat Progress Report: Season 01 Ranked Play」
- Steam「Steam利用規約」
- PlayStation「PlayStationオンラインサービス利用規約」
- 任天堂「ニンテンドーアカウント利用規約」
- Nintendo「How to Use the Internet Connection Test」
- Microsoft「マイクロソフトサービス規約」
- Windscribe「Can I use Windscribe for free?」
- ExitLag「How ExitLag Works」