「中国ではLINEが使えないと聞いたけれど、家族や会社とどう連絡を取ればいいのか」。中国でLINEを使う方法を探しても、eSIMやVPN、レンタルWi-Fiと選択肢が多く、どれが自分に合うのか迷ってしまう方は少なくないでしょう。VPNを使ってよいのか、現地でつながらなかったらどうするのかという不安も重なります。
そこで本記事では、中国本土でLINEが使えない理由と、使えるようにする5つの方法の違いを、各社の公式案内をもとに整理しました。出発前の準備や、つながらないときの対処までそろうので、自分に合う本命と予備を決められます。
あわせて、中国でVPNを使う前に知っておきたい決まりや、代わりの連絡手段も同じ流れで解説します。
中国本土でLINEが使えない理由
中国本土では、ホテルのWi-Fiや中国の携帯回線といったふつうの回線からLINEにつながりません。中国のネット規制でLINEへの通信が妨げられているためで、この状態は2014年から続いています。
中国本土のふつうの回線ではつながらない
中国本土の回線を使う限り、LINEは基本的に使えないと考えてください。中国本土からの接続を観測している民間の調査サイトGreatFireでは、2026年9月24日時点でLINEのサイトが遮断と判定されています。
ホテルや空港の無料Wi-Fi、中国で買ったSIMは、どれも中国国内の通信網を通ります。そのため、LINEを使うには中国の外を経由する回線かVPNが必要です。
2014年7月ごろから妨害が続いている
中国本土でLINEが使えなくなったのは、2014年7月ごろからです。カナダのトロント大学の研究機関Citizen Labは、2014年7月2日ごろから中国本土でLINEとKakaoTalkの機能が妨げられたと報告しました。
同じ報告によると、当時のLINEの運営会社は障害を認めたものの、理由は説明していません。遮断の理由は公表されていないため、いつ解除されるかも分からないのが実情です。
香港や台湾は中国本土と事情が違う
香港や台湾は、中国本土とは通信の扱いが異なります。台湾ではLINEが日常の連絡手段として広く使われていて、LINEヤフーの発表では2025年9月末時点の月間利用者が2,200万人、人口の約94%です。
LINEの電話番号認証に使える番号にも、香港と台湾の携帯電話会社の番号が含まれています。香港旅行での通信の注意点は香港旅行のVPNガイドを参考にしてください。
中国でLINEを使えるようにする方法
中国本土でLINEを使う方法は、国際ローミング、海外用eSIM、VPN、レンタルWi-Fi、香港SIMの5つです。中国の規制は変わることがあり、VPN各社も接続を保証していないため、1つに頼らず組み合わせるのが現実的でしょう。
- 国際ローミングは日本の回線を経由する
- 海外用eSIMは事業者が中国対応をうたう
- VPNは出国前の契約とアプリ導入が前提
- レンタルWi-Fiは特別回線の有無を確かめる
- 香港SIMは2026年に開通の条件が変わった
国際ローミングは日本の回線を経由する
日本で使っているスマホをそのまま海外で使う国際ローミングも、中国でLINEを使う手段として挙げられます。ただし、通信会社はLINEが使えるとまでは案内していないため、ローミングだけに頼らず予備を用意しておきましょう。
料金は会社ごとに違い、ソフトバンクの「海外あんしん定額」では、中国は24時間980円の「定額国L」の対象です。auの「au海外放題」は、中国本土では事前予約で24時間1,000円、予約なしで1,200円かかります。どちらも2026年10月時点の内容で、auは2027年2月から料金体系を変える予定です。ドコモと楽天モバイルは、公式サイトのエリア検索で中国本土の扱いを確かめてください。
海外用eSIMは事業者が中国対応をうたう
海外用eSIMは、スマホに旅行先用の回線を追加するもので、中国向けの商品では、LINEなど中国で遮断されているサービスも使えると案内する事業者があります。Airaloの説明では、自社のeSIMの通信は中国本土の外にある出入口を通るため、VPNなしでSNSを使えるとのことです。
ただしAiraloも、この説明はeSIMのデータ通信を使っているときに限り、ホテルのWi-Fiには当てはまらないと明記しています。Holaflyは、自社の中国向けeSIMにVPNの機能を組み込んでいると案内しています。どちらも事業者の説明で、中国の規制が変われば状況も変わりうるため、予備の手段は持っておきましょう。
VPNは出国前の契約とアプリ導入が前提
VPNでLINEを使うなら、日本にいるうちに契約し、アプリを入れて接続を試しておくことが欠かせません。Proton VPNは、出国前にアカウントの作成からログイン、接続の確認まで済ませることを、最も効果的な対策と案内しています。
現地のApp StoreではVPNアプリを入手しにくいことがあり、2017年にはAppleが中国のApp StoreからVPNアプリを削除したと報じられました。Proton VPNは、中国で100%の安定を保証できるVPNはないとも明記しています。サービスは中国向けVPNの比較で比べられるので、契約前に目を通してください。
レンタルWi-Fiは特別回線の有無を確かめる
レンタルWi-Fiを使う場合は、中国向けの規制に対応した回線かどうかを申し込み前に確かめます。グローバルWiFiの案内は、中国向けの「特別回線」なら中国でアクセスできないSNSやアプリも使える、という説明です。
同じページには、特別回線でも中国政府の規制などで使えないサービスが増える可能性がある、という注意書きもあります。通常のプランとの違いと注意事項を、予約の画面で読んでおきましょう。
香港SIMは2026年に開通の条件が変わった
香港の携帯会社のSIMは、中国本土でも香港の回線として使えるため、選択肢の1つに挙がります。ただし2026年の報道によると、中国移動香港は6月17日からすべてのプリペイドSIMを、中国聯通は8月1日から新しく発行された本土ローミング付きのプリペイドSIMを、中国本土では開通できなくしました。
香港SIMを使うなら、中国本土に入る前に香港などで開通を済ませる必要があります。購入先の最新の案内を確かめてから選んでください。
5つの方法の違いをまとめると次のとおりです。当サイトは中国での接続を実測しておらず、表は各社の公式案内にもとづいています(2026年10月時点)。
| 方法 | 出発前の準備 | 使える範囲 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 国際ローミング | 定額サービスの確認 | スマホのデータ通信 | 料金と対象国は会社ごとに違う |
| 海外用eSIM | 購入と端末への追加 | eSIMのデータ通信 | ホテルWi-Fiでは効かない |
| VPN | 契約・アプリ導入・接続確認 | Wi-Fiとデータ通信 | 現地でつながらない日がある |
| レンタルWi-Fi | 中国向け回線の予約 | ルーターにつないだ端末 | 受け取りと返却の手間 |
| 香港SIM | 本土に入る前の開通 | SIMのデータ通信 | 2026年に開通条件が変更 |
中国へ行く前にLINEで済ませる準備
中国へ行く前には、LINEのトーク履歴のバックアップと登録情報の確認を済ませ、通信手段を2つ用意しておきます。現地ではアプリの入手や認証が難しくなることがあるため、日本にいるうちに終えておくのが安心です。
トーク履歴をバックアップしておく
旅行中にスマホをなくしたときに備えて、出発前にトーク履歴をバックアップしておきましょう。LINEのヘルプによると、iPhoneはiCloud Drive、AndroidはGoogleドライブにバックアップすれば、同じ種類のスマホで復元できます。
iPhoneとAndroidの間で引き継ぐ場合は、バックアップ用のPINコードを登録しておけば直近14日間のトークを引き継げます。古い端末がなく、バックアップもPINコードもない場合は引き継げない仕組みです。
登録した電話番号とメールを確かめる
LINEに登録している電話番号とメールアドレスが今も使えるかを、出発前に確かめておきます。LINEのヘルプによれば、端末の故障や紛失で引き継ぐときに必要なのは、登録した電話番号・メールアドレス・Apple IDかGoogleアカウントのどれかが使えることです。
どれも使えない場合、ヘルプは「LINEアカウントを引き継ぐ手段がありません」と案内しています。メールアドレスを登録していない人は、このタイミングで登録しておくと安心です。
日本のSIMを手元に残しておく
海外用eSIMを使う場合も、日本の電話番号のSIMは端末から消さずに残しておきます。LINEのヘルプでは、データ通信専用のSIMや050番号では電話番号の認証ができないとされているためです。
旅行中に再ログインや認証を求められたとき、日本の番号でSMSを受け取れれば手続きを進められます。SMSが届かない場合は、認証番号の入力画面から「通話による認証」を選べます。
本命と予備の2つの手段を用意する
通信手段は、本命と予備の2つを用意しておくのが基本です。Proton VPNやMillenVPN、Surfsharkはいずれも、中国での接続は状況によって変わり、安定して使えるとは限らないと案内しているためです。
たとえば、ローミングかeSIMを本命にし、出国前に設定を済ませたVPNを予備に持つ組み合わせが考えられます。Surfsharkの日本語ブログも、複数のVPNを用意して到着後すぐに接続を試すよう勧めているほどです。準備の順番は中国旅行のVPN準備チェックリストで確かめられます。
家族や会社に連絡手段を伝えておく
LINEがつながらない場合に備えて、家族や会社には別の連絡手段を伝えておきます。ローミングでの通常の電話番号、メールアドレス、滞在先のホテル名などを共有しておけば、連絡が途切れても慌てずに済むでしょう。
外務省の海外旅行登録「たびレジ」に登録しておくことも検討してください。現地に着いてからの手順は中国到着後のVPN接続手順にまとめています。
中国でVPNを使う前に知りたい決まり
中国の規定は、国が認めた経路以外での国際接続を個人も含めて禁じています。当局は個人の未承認のVPN利用も取り締まりの対象と説明したと報じられており、旅行者を名指しした公式な線引きはありません。
規定は国が認めた経路以外の接続を禁じる
1996年に定められ、1997年に改正された中国の国際ネット接続の暫定規定は、国の通信網が用意した国際出入口を使うよう定めています。第6条の中身は、いかなる組織や個人も、自ら別の経路を作ったり使ったりして国際接続してはならない、というものです。
違反した場合の罰則として、第14条には15,000元以下の罰金などが定められています。条文の上では、個人も対象に含まれると読める書き方です。
旅行者向けの公式な線引きは無い
中国工業情報化部は2017年1月、許可のない企業や個人が専用線やVPNで越境の電気通信事業を行うことを規制の対象と説明しました。貿易会社や多国籍企業が業務で必要な場合は、認められた通信事業者から回線を借りれば影響しないとしています。
一方で同じ年の7月には、取り締まりは個人や国内企業が未承認のVPNを使うのを止めるためだと説明したと報じられました。旅行者についての公式な目安は日本の外務省も示していないため、使うかどうかは現地の法令と各サービスの規約を確かめて自分で決める必要があります。
処分が報じられたのは中国在住者の例
ここで紹介する2件は、いずれも中国に住む人の例です。2019年の報道では、広東省の男性が国際ネットワークへの不正な接続を理由に1,000元の罰金を科されました。
2023年には河北省で、VPNを使って海外企業の仕事をしていたプログラマーが、収入の没収などの処分を受けたと報じられています。旅行者にそのまま当てはまる例ではありませんが、規定が個人に適用された例があることは知っておきましょう。
LINEがつながらないときの対処と代わりの手段
現地でLINEがつながらないときは、VPNの接続先と接続方式を変え、それでもだめなら回線そのものを切り替えます。連絡が途切れないよう、代わりの手段としてWeChatも出発前に用意しておくと安心です。
接続先と接続方式を切り替える
VPNがつながらないときは、まず接続先のサーバーと接続方式(プロトコル)を変えて試します。Surfsharkが2026年10月更新のヘルプで強く勧めているのは、中国でアプリからつながらない場合の、WireGuardという方式の手動設定です。
MillenVPNは、中国など規制の厳しい国からの利用では、OpenVPNへの切り替えや、OpenConnect方式の専用アプリ「MillenVPN Native OpenConnect」の利用を案内しています。対処の順番は中国でVPNにつながらない時の直し方で確かめてください。
ホテルWi-Fiから別の回線に切り替える
ホテルのWi-Fiでつながらないなら、Wi-Fiを切ってeSIMやローミングのデータ通信に切り替えます。Airaloの案内でも、中国本土の外を通る経路が使えるのはeSIMのデータ通信のときだけで、ホテルのWi-Fiには当てはまりません。
反対に、ローミングやeSIMでつながりにくい場面では、VPNをつないだWi-Fiに切り替える手もあります。2つの手段を行き来できるようにしておくことが、連絡を途切れさせないコツです。
WeChatは出発前に登録しておく
中国本土で使える連絡手段として、WeChat(微信)を出発前に登録しておくと安心です。深圳市の英語ポータルの案内では、登録にはSMSを受け取れる電話番号が必要で、既存の利用者にQRコードを読み取ってもらう認証を求められる場合があります。
この認証に協力できるのは登録から6か月を超えた利用者などに限られるため、現地で慌てて登録しようとすると手間取りかねません。外務省は、WeChatなどのSNSも盗聴の可能性を意識して使うよう注意しており、大事な情報のやり取りは避けたほうがよいでしょう。
中国でのLINEについてよくある質問
中国でLINEを使うときによく迷う点を、3つの質問にまとめました。
ホテルのWi-FiならLINEは使える?
ホテルのWi-Fiは中国国内の通信網を通るため、そのままではLINEは使えません。VPNをつなぐか、Wi-Fiを切って海外用eSIMやローミングのデータ通信に切り替えてください。
海外用eSIMだけで準備は足りる?
eSIMで使えるという案内は事業者の説明で、中国の規制が変われば状況も変わりうるため、予備の手段を用意しておくと安心です。データ通信専用のeSIMではLINEの電話番号認証もできないので、日本のSIMは端末に残しておきましょう。
中国でLINE Payは使える?
日本のLINE Payは、サービス自体が2025年4月30日までに終了したため使えません。LINEヤフーが2024年6月に終了を発表していました。
まとめ
中国本土では、ホテルのWi-Fiや中国の携帯回線からLINEにつながらない状態が2014年から続いています。使えるようにするには、国際ローミングや海外用eSIM、VPN、レンタルWi-Fi、香港SIMのいずれかを用意し、本命と予備の2つを組み合わせるのが現実的です。
どの方法も、契約や設定は日本にいるうちに済ませておく必要があります。まずはトーク履歴のバックアップと登録情報の確認を終え、自分の日程に合う通信手段を選ぶところから始めましょう。
参考文献
- GreatFire Analyzer「line.me」
- Citizen Lab「Asia Chats: LINE and KakaoTalk Disruptions in China」
- LINEヤフー「『LINEのトーク』に関する利用実態調査を実施」
- LINEヘルプセンター「電話番号の認証ができない/認証番号(SMS)が届かない」
- LINEヘルプセンター「トーク履歴を引き継ぐには?」
- LINEヘルプセンター「故障/紛失/盗難などで、以前の端末を利用できない」
- LINEヤフー「日本国内における『LINE Pay』サービス終了に関するお知らせ」
- ソフトバンク「海外あんしん定額」
- au「au海外放題」
- ドコモ「世界そのままギガ」
- 楽天モバイル「海外ローミング」
- Airalo「Does Airalo have VPN for China?」
- Holafly「中国でVPN」
- グローバルWiFi「中国WiFiレンタル」
- Proton VPN「Using Proton VPN in China」
- Surfshark「Connecting from China」
- Surfshark「中国でVPN」
- MillenVPN ヘルプセンター「中国など通信規制の厳しい国から日本国内サービスを利用したい場合」
- Al Jazeera「Apple axing VPN services from China App Store」
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