「中国に行ってもインスタは使えるのだろうか。旅先の写真を上げられないのは困る」。せっかくの旅行や出張中に投稿が止まったり、ログインできなくなったりしないか、不安が先に立つ方は多いのではないでしょうか。VPNやeSIMのどれを選べばよいのか、違法にならないのかという迷いも重なります。
そこで本記事では、中国本土でインスタが使えない状況と、使えるようにする5つの方法を、観測データや各社の公式案内をもとに整理しました。2段階認証の予備のコードなど、アカウントを守る出発前の準備も分かるので、現地で慌てずに済むはずです。
あわせて、中国で知っておきたい決まりや、中国版インスタと呼ばれる小紅書などのアプリも同じ流れで解説します。
中国本土でインスタが使えない状況
中国本土では、Instagramはホテルや空港のWi-Fi、中国のSIMといったふつうの回線からは使えないと考えてください。アプリそのものは中国のApp Storeにも載っていますが、通信が遮断されているため、入れてもつながりません。
ふつうの回線では遮断の判定が続いている
中国本土からの接続を観測している民間の調査サイトGreatFireでは、instagram.comが「遮断」と判定されています。直近90日のテストは22回すべてつながらず、最終テストは2026年10月20日でした(2026年10月23日に確認)。
写真や動画を配信するアドレスも遮断の判定が出ており、同じMetaのFacebookも遮断の判定です。ホテルや空港の無料Wi-Fi、中国で買ったSIMはどれも中国国内の通信網を通るため、後で紹介する手段を出発前に用意しておく必要があります。
2014年9月末から使えなくなったと報じられた
米PCWorldは、2014年9月28日から中国でInstagramが遮断され始め、北京ではアプリが新しい投稿を読み込まなくなったと報じました。香港で大規模な抗議活動があった時期で、中国政府は遮断の理由を説明していないと同じ記事は伝えています。
運営するMetaの広報は2025年4月、中国では現在サービスを運営していないと説明しました。中国でInstagramが使えるようになる見通しは公式には示されていないため、通信手段を用意する前提で準備を進めましょう。
アプリは入れられても通信がつながらない
Instagramのアプリは、2026年10月時点で中国のApp Storeにも掲載されていました。2024年4月にAppleが中国のApp StoreからWhatsAppやThreadsを削除したときも、Instagramは引き続き入手できたとロイターが報じています。
ただし、アプリを入れられることと、中国の回線でつながることは別の話です。つながらない理由は通信の遮断なので、アプリの入れ直しでは解決しない点を覚えておきましょう。
中国でインスタを使う方法
中国本土でInstagramを使う方法は、海外用eSIM、国際ローミング、VPN、レンタルWi-Fi、香港SIMの5つです。中国の規制は変わることがあり、Proton VPNのように中国での接続を保証できないと明記するVPN事業者もあるため、1つに頼らず組み合わせるのが現実的でしょう。
- 海外用eSIMは事業者が中国対応をうたう
- 国際ローミングは日本の通信会社の料金で使う
- VPNは出国前の契約とアプリ導入が前提
- レンタルWi-Fiは中国向けの回線を選ぶ
- 香港のSIMは本土で開通できない例がある
5つの方法の違いは次の表のとおり。当サイトは中国での接続を実測しておらず、表は各社の公式案内と報道にもとづいています(2026年10月時点)。
| 方法 | 出発前の準備 | 使える回線 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 海外用eSIM | 購入と端末への追加 | eSIMのデータ通信 | Airaloはホテル Wi-Fiは対象外と案内 |
| 国際ローミング | 定額サービスの確認 | スマホのデータ通信 | 海外アプリの利用は案内なし |
| VPN | 契約・アプリ導入・接続確認 | Wi-Fiとデータ通信 | つながらない日がある |
| レンタルWi-Fi | 中国向け回線の予約 | ルーターにつないだ端末 | 容量プランは1日の上限あり |
| 香港SIM | 本土に入る前の開通 | SIMのデータ通信 | 2026年に開通条件が変更 |
海外用eSIMは事業者が中国対応をうたう
海外用eSIMは、スマホに旅行先用の回線を追加するもので、中国で遮断されているSNSも使えると案内する事業者があります。Airaloの説明では、自社のeSIMの通信は中国本土の外にある出入口を通るため、VPNなしでブロックされたサイトを使えるとのことです。
ただしAiraloも、この説明はeSIMのデータ通信を使っているときに限り、ホテルのWi-Fiには当てはまらないと明記しています。事業者の説明なので、規制が変われば状況も変わりうると考え、予備の手段も持っておきましょう。
国際ローミングは日本の通信会社の料金で使う
国際ローミングは、日本で使っているスマホをそのまま海外で使う方法で、料金の仕組みが分かりやすいのが特長です。eSIM事業者のAiraloは、国際ローミングの経路を使う通信は中国本土の外の出入口を通ると説明しています。ただし、中国でInstagramが使えるかは通信会社が案内していないため、ローミングだけに頼らず予備も用意しておきましょう。
ソフトバンクの「海外あんしん定額」では、中国は24時間980円の「定額国L」の対象です。auの「au海外放題」は、中国本土では事前予約で24時間1,000円、予約なしで1,200円かかります。どちらも2026年10月時点の内容で、auは2027年2月から料金体系を変える予定です。
VPNは出国前の契約とアプリ導入が前提
VPNでInstagramを使うなら、日本にいるうちに契約し、アプリを入れて接続を試しておくことが欠かせません。2017年にはAppleが中国のApp StoreからVPNアプリを削除したと報じられており、現地で入手しようとしても手間取りかねません。
Proton VPNは、出国前にアカウントの作成から接続の確認まで済ませることを最も効果的な対策とし、中国で100%の安定を保証できるVPNはないとも明記しています。サービスは中国向けVPNの比較で比べられるので、契約前に目を通してください。
レンタルWi-Fiは中国向けの回線を選ぶ
レンタルWi-Fiを使う場合は、中国向けの規制に対応した回線かどうかを申し込み前に確かめます。グローバルWiFiの案内は、中国向けの「特別回線」なら中国でアクセスできないSNSやアプリも使える、という説明です。
同じページには、特別回線でも規制などで使えないサービスが増える可能性がある、という注意書きもあります。容量に上限のあるプランもあるため、写真や動画を多く上げる人は予約の画面でデータ量も確かめておきましょう。
香港のSIMは本土で開通できない例がある
2026年の報道によると、中国移動香港は6月17日からすべてのプリペイドSIMを、中国聯通は8月1日から新しく発行された本土ローミング付きのプリペイドSIMを、中国本土では開通できなくしました。使うなら、本土に入る前に香港などで開通を済ませてください。
香港のSIMは手軽な手段として紹介されてきましたが、条件はこのように変わることがあります。買う前に、販売元の最新の案内を確かめておくと安心です。
出発前に済ませるインスタの準備
中国でInstagramを使うなら、アカウントに入れなくなる事態を防ぐ準備を日本で済ませておきます。日本でログインした端末を持っていき、2段階認証の予備のコードを手元に置くことが特に大切です。
日本でログインした端末を持っていく
中国で使うスマホは、日本にいるうちにInstagramへのログインを済ませておきましょう。Instagramのヘルプによると、2段階認証を設定していると、見慣れない端末やブラウザーからのログインには確認のコードや承認が求められます。
2段階認証でログインした端末は、「このデバイスを信頼する」を選ぶと、次からコードの入力が不要になります。旅行先で新しい端末からログインし直さずに済むよう、持っていく端末で設定しておくと安心です。
2段階認証は認証アプリと予備のコードを用意
Instagramの2段階認証では、認証アプリ・SMS・WhatsAppの3つから受け取り方法を選べます。WhatsAppも中国本土では遮断の判定なので、旅行中は認証アプリを中心に考えるのが現実的でしょう。
ヘルプは、接続や配信の問題でコードが届かない場合でも、バックアップコードで認証できると説明しています。バックアップコードはログインしていないと取得できないため、日本で取得し、スマホ以外の場所にも控えておいてください。
登録したメールと電話番号を確かめる
ログインできなくなったときは、ログイン画面の[パスワードを忘れた場合]から、登録したメールアドレスや電話番号にログイン用のリンクを送ってもらえます。ヘルプは、登録したメールにアクセスできず、Facebookともリンクしていない場合はアカウントへのアクセスを許可できないとしています。
出発前に、登録したメールと電話番号が今も使えるかを確かめておきましょう。Gmailは中国本土では遮断の判定なので、Gmailで受け取る人は、現地でもメールを読める通信手段の用意が欠かせません。
新しい端末からの通知は場所も見て判断する
旅行先で新しい端末からログインすると、2段階認証を設定していれば、日本で使っている端末にデバイスと場所の情報つきの通知が届きます。VPNなどでつないでいると、表示される場所が中国以外になることもあるでしょう。
Metaも年次報告書で、利用者の場所はIPアドレスなどから推定するため、接続したプロキシの場所から使っているように見える場合があると説明しています。自分のログインなら慌てずに承認し、身に覚えがなければ却下してパスワードを変えましょう。
写真や動画を多く上げるなら通信量に余裕を
写真や動画の投稿、ストーリーズやリールの視聴は通信量が多くなります。動画を多く上げる人は、データ量に上限のないプランや、容量に余裕のある方法を選びましょう。
ソフトバンクは2027年春以降、海外での利用が24時間で10GBを超えると通信速度を最大4.5Mbpsに抑える予定です。旅行の時期によって条件が変わるため、出発前に契約している会社の最新の案内を確かめてください。
中国でインスタを使う前に知りたい決まり
Instagramの規約にはVPNを名指しで禁じる記述は見当たりませんが、中国の規定は国が認めた経路以外での国際接続を禁じています。旅行者を名指しした公式な線引きはないため、決まりを知ったうえで使うかどうかを自分で判断しましょう。
インスタの規約にVPNを名指しした記述はない
Instagramの利用規約には、VPNやプロキシを名指しで禁じる記述は見当たりません(2026年10月時点)。アクセスの方法について規約が禁じているのは、許可なく自動化された手段でアカウントを作ったり情報を取得したりするなど、不正な方法でのアクセスです。
一方で、VPNの利用に問題がないと書いた公式の説明もありません。ヘルプは、いいねやフォロワーを増やす外部のアプリにパスワードを渡すと制限の対象になりうると説明しているため、そうしたアプリは使わないでおきましょう。
中国の規定は国が認めた経路以外の接続を禁じる
1996年に定められ、1997年に改正された国際接続の規定は、第6条で、いかなる組織や個人も国の国際出入口以外の経路で国際接続してはならないと定めています。第14条には、15,000元以下の罰金などの罰則があります。
中国工業情報化部は2017年1月、許可のない企業や個人が専用線やVPNで越境の電気通信事業を行うことを規制の対象と説明しました。同じ年の7月には個人の未承認のVPN利用も対象と説明したと報じられ、広東省と河北省で処分が報じられた2件は、いずれも中国に住む人の例です。
投稿する内容と撮る場所に気をつける
外務省は、国家秘密の範囲があいまいなため、入手した情報の共有や発信が違法とみなされる可能性があると注意しています。旅先の写真や動画をストーリーズに上げる前に、写っている場所や内容に問題がないか一度見直しましょう。
外務省は、WeChatなどのSNSや電子メールも、通信機器を通じて盗聴されている可能性を意識して使うよう呼びかけています。仕事の機密や個人の大事な情報は、InstagramのDMでもやり取りしないほうがよいでしょう。
中国版インスタと呼ばれるアプリ
中国版インスタと紹介されることがあるのは、写真と短い動画で生活を共有する小紅書(RED)です。Metaは中国でサービスを運営していないため公式の中国版はなく、友人との写真の共有にはWeChatの機能も使えます。
小紅書は写真と短い動画で生活を共有する
小紅書は2013年に上海で創業した、写真や短い動画と文章で暮らしを記録・共有するアプリです。日本のApp Storeでは「rednote」の名前で配信されており、対応言語に日本語も含まれています。
公式サイトが示す利用者数は、2019年10月時点で月間1億人超です。小紅書の報告書を伝えた中国メディアによると、外国人利用者の中国旅行に関する投稿は前年比で5倍増と伝えており、旅先の情報集めに役立つでしょう。
友人との写真の共有にはWeChatも使える
WeChat(微信)には、友人に写真付きで近況を伝えるモーメンツという機能があります。テンセントの決算によると、中国国内版と海外版を合わせた月間の利用者は、2026年6月末時点で14億3,900万人でした。
深圳市の英語サイトの案内では、WeChatの登録には認証に使える正しい電話番号が必要で、すでに使っている人の認証を求められる場合もあります。現地の人と連絡を取る予定があるなら、日本で登録まで済ませておきましょう。
中国のアプリはふつうの回線で使える
小紅書のウェブサイト(www.xiaohongshu.com)は、GreatFireで遮断されていない判定です(直近2回のテスト、2026年9月27日が最終)。中国のアプリはホテルのWi-Fiや中国のSIMでも使えるのが基本なので、Instagramがつながらないときの情報集めにも向いています。
中国版のTikTokにあたる抖音(Douyin)は、日本のApp Storeには掲載されておらず(2026年10月時点)、日本のTikTokとは別のアプリです。小紅書(rednote)のように日本のApp Storeで入手できるアプリは、出発前に入れておくと迷わずに済みます。
中国のインスタでよくある質問
中国でInstagramを使うときによく迷う点を、3つの質問にまとめました。
上海ならインスタは使える?
上海も中国本土なので、ふつうの回線ではInstagramは使えません。上海の一部の地区で企業向けに国際接続を広げる構想は報じられていますが、旅行者が使える仕組みとして公式に発表されたものはありません(2026年10月時点)。
香港やマカオではインスタは使える?
香港とマカオは中国本土とは別の制度で運営され、ブリタニカは本土よりネットの検閲が比較的ゆるいと説明しています。ただし香港では検閲が強まる可能性も指摘されており、Metaも年次報告書で、香港の国家安全に関する法律に違反したと判断されれば自社の製品の利用が制限されうるとリスクに挙げています。香港での通信の選び方は、香港旅行のVPNガイドを参考にしてください。
ホテルのWi-Fiならインスタは使える?
ホテルのWi-Fiは中国国内の通信網を通るため、そのままではInstagramは使えません。VPNをつなぐか、Wi-Fiを切って海外用eSIMのデータ通信に切り替える方法が、各社から案内されています。
まとめ
中国本土では、Instagramはホテルや空港のWi-Fi、中国のSIMといったふつうの回線からは使えない判定が続いています。使うには、海外用eSIMやローミング、VPNなどを出発前に用意し、1つに頼らず組み合わせるのが現実的です。
あわせて、日本でログインした端末を持っていき、2段階認証のバックアップコードを控えておきましょう。まずはInstagramの設定から、バックアップコードを取得するところから始めてください。
参考文献
- GreatFire Analyzer「https://instagram.com」
- GreatFire Analyzer「https://scontent.cdninstagram.com」
- GreatFire Analyzer「https://facebook.com」
- GreatFire Analyzer「https://web.whatsapp.com」
- GreatFire Analyzer「https://mail.google.com」
- GreatFire Analyzer「https://www.xiaohongshu.com」
- PCWorld「China blocks Instagram, 'tear gas' searches amid Hong Kong protests」
- CQ-Roll Call「Whistleblower: Meta sought ties with China, misled Congress」
- Meta Platforms, Inc.「Form 10-K(2025年12月期)」
- Apple App Store(中国)「Instagram」
- The Business Standard(ロイター配信)「Apple pulls WhatsApp, Threads from China app store after Beijing order」
- Instagram ヘルプセンター「二段階認証でMetaアカウントの安全を確保する」
- Instagram ヘルプセンター「Instagramのログインリクエストをオンまたはオフにする」
- Instagram ヘルプセンター「Instagramでバックアップコードを使う方法」
- Instagram ヘルプセンター「Instagramプロフィールが不正アクセスされたと思われる場合」
- Instagram ヘルプセンター「Instagramアカウントにリンクされているメールアドレスまたは電話番号にアクセスできなくなった場合」
- Instagram ヘルプセンター「利用規約」
- Instagram ヘルプセンター「データスクレイピングのためアカウントが制限された理由とその対策」
- Airalo「Does Airalo have VPN for China?」
- ソフトバンク「海外あんしん定額」
- au「au海外放題」
- グローバルWiFi「中国WiFiレンタル」
- Al Jazeera「Apple axing VPN services from China App Store」
- Proton VPN「Using Proton VPN in China」
- unwire.hk「中移動香港儲值卡禁止內地啟用」
- 香港01「中国联通CUniq储值卡8.1起禁内地激活」
- 中华人民共和国计算机信息网络国际联网管理暂行规定
- 中国工業情報化部 情報通信管理局 記者Q&A
- Sixth Tone「Guangdong Man Fined $150 for Using a VPN」
- China Digital Times「Chengde Seizes Three Years of "Illegal Income" From Programmer Who Used VPN for Overseas Work」
- 外務省 海外安全ホームページ「中国 安全対策基礎データ」
- 小紅書「关于我们」
- Apple App Store(日本)「rednote」
- AP「'TikTok refugees' are pouring to Xiaohongshu」
- 観察者網「入境游“破圈”:小红书数据折射中国开放新图景」
- Tencent「Tencent Announces 2026 Second Quarter Results」
- EyeShenzhen「How to register for a WeChat/Xiaohongshu/Douyin/ Weibo account」
- Apple App Store(中国)「抖音」
- SCMP「Shanghai mulls plan to bypass Great Firewall in bid to woo more foreign investment」
- Britannica「Great Firewall」